アレルギー性鼻炎とは
花粉症と通年性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキの花粉、ダニ(ハウスダストに含まれる主要アレルゲン) などに免疫が反応し、鼻粘膜に慢性の炎症が起こる病気です。
代表的アレルゲン | 症状が出る時期 | |
季節性(花粉症) | スギ・ヒノキ・ブタクサなど | 主に春・秋 |
通年性 | ダニアレルゲン | 一年中 |
アレルギー性鼻炎の主な症状
連発するくしゃみ
- さらさらした透明な鼻水
- 鼻づまり(両側・片側)
- 鼻や目のかゆみ、喉の違和感
これらの症状が慢性的に続くことで、集中力の低下、学業や仕事のパフォーマンス低下、日中の眠気といった影響も出てきます。
アレルギー性鼻炎の原因と検査
アレルギー性鼻炎の発症には、アレルゲン(原因物質)との接触とアレルギー体質(遺伝的要因)が深く関係しています。
主な原因アレルゲン
- 花粉:スギ・ヒノキ・イネ科・ブタクサ など
- ダニ(※ハウスダストの主成分)
- カビ、ペットの毛、黄砂など
当院では以下のような検査を組み合わせ、原因アレルゲンの特定と炎症の評価を行っています。
検査内容
- 鼻内視鏡検査:鼻粘膜の腫れや分泌物の状態を直接確認
- 血液検査(特異的IgE):各アレルゲンに対するアレルギー反応を数値で評価
- 鼻汁好酸球検査:鼻汁を採取し、アレルギー性か非アレルギー性かを判定
- 生活環境のヒアリング:発症時期や環境との関連を詳しく確認
アレルギー性鼻炎治療法
症状の程度、年齢、生活スタイルに応じて、以下の治療法を個別に組み合わせます。
1. 薬物療法
- 抗ヒスタミン薬:くしゃみ・鼻水の抑制
- ロイコトリエン拮抗薬:鼻づまりへの効果が期待される
- ステロイド点鼻薬:鼻粘膜の炎症を抑える効果が高い
- 漢方薬:体質に応じた補助的な治療法
2. 舌下免疫療法(体質改善を目指す治療)
スギやダニに対する舌下錠(シダキュア、ミティキュア)を数年間服用し、アレルギーの根本治療を目指す方法です。
- 自宅で服用可能
- 保険適用あり
- 体質改善や再発予防、薬の減量が期待できる
症状の緩和だけでなく、長期的な根本治療を目指したい方に適しています。
3. 生物学的製剤 — ゾレア(オマリズマブ)
従来の治療では十分な効果が得られない重症スギ花粉症に対して、月1〜2回の皮下注射によってIgE 抗体を抑制し症状を劇的に改善する新しい治療法です。
適応条件(保険適用)
- スギ花粉症によるアレルギー性鼻炎
- 抗ヒスタミン薬などが効きにくい重症例
- 血清IgE値や重症度などが基準を満たす
4. 手術療法 (鼻づまりが強い方・薬で十分な効果が得られない方に)
薬物療法で改善が見られない場合や、鼻の構造に問題がある場合には、手術による治療を検討することがあります。
鼻中隔矯正術・下鼻甲介手術
鼻の通りを妨げている鼻中隔のゆがみを矯正し、腫れて厚くなった粘膜(下鼻甲介)を縮小させる手術を行うことで、鼻づまりの症状を大きく改善することができます。
後鼻神経切断術
鼻水やくしゃみを引き起こす反射には、鼻の奥を走る「後鼻神経」が関係しています。
後鼻神経切断術は、この神経の一部を内視鏡で慎重に処理することで、過剰な反応を抑える治療です。
脳や感覚神経には影響しないため、身体への負担は少なく、重症アレルギー性鼻炎の改善が期待できます。